名古屋への視察①民間のスイミングスクールを活用した水泳授業について
2020年1月30日から31日の一泊二日で、名古屋市・東海市へ視察に行ってきました。
以下ご報告です。
①名古屋市 民間スイミングスクールを活用した水泳授業について
名古屋市教育委員会の皆さまにお話を伺いました。
名古屋市では西宮市と同様に、学校などの長寿命化計画について様々な検討が行われている。
学校施設の中でも、プールというのは年間二ヶ月ほどしか使用していないこともあり、必要最低限の補修にとどまっている。
そんな中で、菊住小学校と正木小学校については、民間スイミングスクールを利用した水泳授業が行われている。
名古屋市では、老朽化しているプールは小学校だけで260校中10校くらい。
中学校は対象外である。
その10校のうち、条件が合えば民間スイミングスクールを活用するかもしれないが、そちらに移行する方向性があるわけではない。あくまでも2校については条件が合ったから実施したという経緯がある。
正木小に関しては、児童増による校舎増築でプールを壊すパターンを考えている。
業者選定は、財務分析をして決定した。
緊急時の対応(AED使用など)は、紙面で交換してる
平成31年度予算での事業費は2校合わせて825万6千円。
【内訳】
委託料796万9千円
福祉車両などの借上げ料23万5千円
消耗品は5万2千円
●菊住小学校の場合
児童数500名 6月から10月まで曜日によって学年ごとに利用
移動はバス 水深1.1から1.2メートルと、70センチの2種類のプールあり
教師とインストラクターによるTT T1は教師、T2はインストラクター
指導内容は名古屋市教育課程に準ずる
委託料468万7千円(1800円×人数分421万5千円 + 介護者派遣47万2千円)
●正木小学校の場合
児童数300名 6月の毎週金曜日 スイミングスクールの定休日である毎週金曜日に、全学年利用
スイミング以外にもフィットネスクラブも経営しているので、更衣室などのロッカーは使用せず
水深の浅い方が1.1から1.2メートルなので、128本のベンチのようなプールフロアーで水深70センチにし、タオルなどで隙間を埋めている
移動は、徒歩
教師とインストラクターによるTT T1は教師、T2はインストラクター
指導内容は名古屋市教育課程に準ずる
委託料328万2千円(2340円×人数分297万円 + 介護者派遣31万2千円)
消耗品費5万2千円(特別支援の児童のためのトイレで身体を支えるアームレストとシャワーチェアの購入)
以上が、民間スイミングスクール利用の概要である。
【感想】
プールの維持管理の問題は大きく、維持管理費の考えると民間委託の方が負担は少なくなると言うことであった。水泳技術の習得として考えた場合、専門のコーチが付くことで技術の向上に役立つ。また、天候に左右されないなどもメリットもある。水泳技術の向上、経費削減、維持管理の負担を減らすという点に重点を置くのであれば、民間委託は有効であると考える。
デメリットとしては、移動時間の確保が必要なことと、民間事業者の営業時間との調整、施設利用の制限(フィットネスクラブなど複合施設である場合もある)などがある。
まずは教育的観点や財政的にも市としてすべての学校が民間委託を進めていくのか、個々の学校のみとなるのか、方針を打ち出すことが必要だと考える。
水泳技術の向上、経費削減、維持管理の負担を減らしていくという点に重点を置くのであれば、民間委託は有効である。
長寿命計画に基づき全体的な観点での指針を打ち出すことが求められる。
②東海市 小学校水泳授業民間委託検証事業について
大東市は、鉄鋼基地と洋蘭の生産地して有名な都市で毎年1000人ずつ人口が増え、非交付団体です。
元々、学校にプールはなく市営プールを利用し、平成20年度市営プールを各学校へ移管しました。
プール施設が設置されていない学校については、近隣学校のプールまたは、温水プールまで徒歩で移動し授業を行っています。
プールのあり方として、老朽化した学校プールを維持管理することは教員の大きな負担となり、維持に多大な費用がかかるので、学校が維持する場合と民間委託した場合との比較検討を行い、その検証結果について検討しています。
①民間施設を利用した水泳事業の検証
⇒天候に左右されず授業を予定通り、行うことができ、インストラクターの指導補助で効率よく指導ができる。教師の負担軽減。
②学校プールの統廃合
③今後の学校プールの方向性
⇒プール建設費用及び維持管理経費と比較すると、民間施設を活用した方が安価となる。
プール建設費用【約59億400万円】 民間施設活用【約47億3800万円】・・・11億6600万円安価となる。
小学校3校が(株)ザ・ビッグスポーツ【1125万3千円】 小学校1校が株式会社コパン【231万1千円】 に委託実施。
1回一人あたり1540円
25メートル泳げるようになった児童は増加した。
課題は・・・
11月まで行ってみたが、11月はさすがに寒く体調不良者がでたため5月から10月が望ましい。
水泳授業民間委託を行っていない学校への対応⇒インストラクターの派遣などを考えていく。
中学校の水泳授業民間委託について⇒授業時間確保がむずかしく、体育教師がいるためインストラクターの配置はしない。
今後の方向性・・・
設備更新が必要となる築40年以上経過した学校プールについて、大きく改修費用が必要であれば民間施設へ移行していく。
【感想】
元々が学校プールがなかったと言う地域なので、学校以外にプールがあるということに違和感なく取り組めている面があると思う。
今後も市としての方針が民間施設利用と打ち出しているので、課題が見えやすい。
学校近くに民間の施設が無いところの方が多く、インストラクター派遣を計画しているが、全体的に価格の変動は無いのか、長期的に検討する必要はあるのではないかと思う。
総合的にはメリットが大きい事業だと感じた。