報告

2021年12月議会 一般質問③

新型コロナウイルス感染症に関する差別禁止条例の設置について

【新型コロナウイルス感染症の陽性者やワクチン未接種者への差別を無くすための市としての対応】

新型コロナウイルス感染症の第5波が少し落ち着き、このまま収束してほしいと願う気持ちは、皆さま同じだと思います。しかしながら、ちょうどこの質問の原稿を考えているタイミングで変異株のオミクロン株が広がってきているという報道がありました。まだまだ新型コロナウイルス感染症(以下感染症といいます)との闘いは続くのであろうと思いますが、この感染症との闘いではなく、人との闘いになるのは避けなければなりません。人との闘いというのは、差別のことです。

当初からの問題であった、陽性者や医療関係者、エッセンシャルワーカーなどへの差別に関しては、大きな問題になっており、令和3年2月3日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律」が成立し、新型インフルエンザ等対策特別措置法第13条第2項に,新型インフルエンザ等患者等に対する差別的取扱い等の防止に係る国及び地方公共団体の責務が定められました。

また、ワクチン接種に関する差別も社会問題であると考えます。国や自治体はワクチン接種を任意と示しながらも、ワクチン接種証明を活用した経済活動などを勧めています。西宮市においては、今年10月から一ヶ月間、ワクチンの1回目を接種された18歳から39歳までの先着10,000名様にその場でコーヒーチケット500円分を1枚プレゼント。というキャンペーンがあり、大々的に接種推進をしています。他県の話ではありますが、学生がインターンシップとして企業に出向いた際に、ワクチン接種済みであるかどうかを聞かれ、体調を理由に未接種であることを伝えると、さらに詳細に聞かれ接種への圧力を感じた例もあります。これらの状況を考えるとワクチン接種について、未接種の方が差別されやすい構造がつくられているのではないでしょうか。

身体的または精神的な理由から接種をしない、またはできない人、ワクチンへの懸念から接種を反対する人、様々な立場で未接種の方がおられると思いますが、接種未接種関係なく、お互いの立場を批判することは間違っています。

市内のある中学校で2学期早々に、ワクチン接種済みの生徒に挙手をさせた事例もあり、特に大人の影響を受けやすく、また周りからの同調圧力が大きい子どもたちのワクチン接種に関しては、かなり冷静な判断が必要になると思います。挙手させることで、接種済みの人が未接種の人に対してどのような印象を持つのか、未接種の人がどのような心理状態になるのか、それが差別に繋がることがあると理解されているのでしょうか。未接種の子どもたちが肩身の狭い思いをしていることは間違いありません。何が差別で何が差別で無いのか、それがわからないくらい接種ありきの状態になっているとしたら、それは問題です。大人もそうですが、特に子どもや若者たちについては、本人の意思とは関係なく、同調圧力を受ける可能性が大きいと考えます。

西宮市は、2021年8月5日に阪神間の7市1町(尼崎市・西宮市・芦屋市・伊丹市・宝塚市・川西市・三田市・猪名川町)の各首長が共同で『新型コロナウイルス感染症に関する差別を許さない』とのメッセージを発出しています。

これで十分な啓発が行われているとのお考えかと思いますが、市民の皆さんへの広報は子どもたちも含めて十分になされているのでしょうか。私は十分とは言えない現状であると思いますし、差別は許されないというはっきりとした指針を示すためにも、新型コロナウイルス感染症に関する差別禁止条例の設置を望みますが、市の見解をお聞かせください。

【市の答弁】

新型コロナウイルス感染症に関連した差別は、住んでいる所や勤務場所などに関係なく、どこでも、そして誰にでも起こりうる可能性のあるものです。そのため課題の解決には、新型コロナウィルス感染症に関連した差別について市域を越えて多くの人々が自分のこととして考えていくことが必要になります。

このような社会全体の課題に対しては、市独自に条例を制定する形ではなく、広く人々に『新型コロナウィルス感染症に関する差別を許さない』とのメッセージを伝え、啓発を行うことが需要であると考え、阪神間の7市1町で協議のうえ、各首長と共同して、本市の方針を発出することといたしました。

コロナ差別の啓発につきましては、より多くの市民の皆さまにしっていただけるために、市のホームページや市政ニュースへの掲載するほかに、令和2年8月に「STOP!コロナ差別」、令和2年12月に「『誰か』のことじゃない」のポスターを作成し、市内学校、公共施設等へ掲示し、講演会としては、今年8月に「新型コロナウイルスと人権」と題し実施し、市公式YouTubeチャンネルにてその内容を公開しました。

議員ご指摘の若年層向けのコーヒーチケットを活用したキャンペーンも、ワクチン接種を強制する物ではなく、それまで摂取率の低かった若年層にワクチンについての興味を持ってもらうように取り組んだものです。また、12月4日から10日までの人権週間に向けて、ワクチンの接種・未接種や、マスクの着用・未着用など「誰かのことじゃなく、自分のこととして考えてみよう」との主旨の啓発ポスターを新たに作成し、市内学校、公共施設等に掲示し啓発しているところです。

3回目となる追加接種が12月から開始されました。ワクチン接種の後方におきましては、改めて接種は任意であり強制では無いこと、また接種の強制や差別、不利益な取扱を行うことがないよう、合せて周知に努めています。今後も様々な機会をとらえ、ひとりでも多くの差別が生じないよう啓発を推進して参ります。

 

田中あきよの意見・要望

これだけ不安に包まれたコロナ禍では、ポスターや講演会では、一部の人への啓発にとどまると考えられます。陽性者や職業的な差別に関しては、昨年に比べれば和らいできているところがあるのかなと思うのですが、ワクチン未接種の人に対する差別は、今後さらに厳しくなる懸念があります。

職場や学校、地域などで差別が行われていないかを検証し、実態を把握するなど、どのような事象が差別に当たるのかを、はっきりと示すことが必要かもしれません。その為にも条例制定という形が良いと思いますが、それは必要が無いということでしたら、メッセージや人権週間の啓発などにさらに力を入れていただきたいと思います。

ワクチン接種証明書の活用に関しては、未接種者の人は陰性証明書があれば同じ扱いとなるので差別では無いということかもしれませんが、ワクチン接種済みの人でも感染している場合もあり、それならワクチン接種証明書では無く、すべての人が陰性証明書を活用するという方法であれば、まだフェアに思います(陰性証明書がいつまで有効なのか、検査の正確性の問題はありますが)。ご答弁にありましたコーヒー券配布については、まさか差別を増長するなんてことは考えら無かったようですが、そこに無意識の分断を引き起こしていたことは否めません。

ワクチン接種は自由意志で任意の接種であり、接種未接種関係なく攻められるべきではないとう西宮市としてのスタンスを広くお知らせください。

不安が大きい時だからこそ、一人一人の人権が尊重される世の中出あるべきと思います。

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