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西宮市議会第12回定例会 一般質問③

■社会に出にくい人への支援について

先日、NHKでひきこもりを題材にした「こもりびと」という番組がありました。武田鉄矢扮する父親と、松山ケンイチ扮する次男を中心としたひきこもりの息子を父親が理解し、亡くなる前にお互いの気持ちを伝えることができて、お葬式で息子が人前に出てくることができたというお話です。私は一部分しか観てないのですが、そんなに上手くいけば苦労はしないよなーと言うことと、なかなか理解されにくいひきこもりと言われる人たちの心の叫びとか、嘆きとか、自己肯定感の低さなど、動きたくても動けないと言うところを上手く表現されていたなと言うのが感想です。

この、ひきこもりと言われる人たちの人数は、推計ですが、平成28年9月の内閣府の発表では15才から39才で54.1万人、平成31年3月の内閣府発表では40才から64才で61.3万人と言われています。合わせて115万人に上ります。これは令和2年6月に出された兵庫県ひきこもり対策委員会の報告書からの数字です。この数字を元に西宮市の人口割りで考えると、約4500人のひきこもりの人がおられるという計算になります。15才から64才までの幅広い年齢が対象となりますが、今回の質問は、とくに若者のひきこもりについて取り上げます。

なぜ若者に焦点をあてたかというと、義務教育から高校にかけて、不登校であった人がそのまま卒業して進路が決まらず、または決まったとしても居場所がなく引きこもってしまった場合、保護者はまずどこかに相談をされます。もし、西宮市で18才までの不登校などの相談ならこども未来センターになります。18才以上になると保健所の心のケア相談を利用することになります。高校を卒業した年齢になると相談窓口が代わり、担当者が変わるというとは、相談者にとってはとても負担になることは想像していただけると思います。また、ここには、西宮市の高校生の不登校やひきこもりの相談を子ども未来センターにしているかどうかと言うところですが、高校生の相談窓口がこども未来センターであると言うことをご存じの方は非常に少ない現状があります。

義務教育の間の不登校やひきこもりは、まだ学校という所属先があり相談窓口も学校になりますが、その所属が無くなった時、子どもたちも保護者も新たな不安との闘いになります。しかしながら、逆にそのタイミングは何とかしたいという行動にもつながりやすいとも言えます。

現在8050問題など、ひきこもりの方の年齢が上がれば上がるほど、社会とのつながる可能性は下がっていきます。だからこそ、若者への支援を充実させることは、人生の可能性が広がると言うことをまずは強く認識をしていただきたい。そのタイミングで、相談先が変わることは非常にリスクが高いと考えます。また、社会人になってから仕事に行けなくなりひきこもりにつながることもあります。その場合、まずは保護者が相談に訪れる場合もあり、心のケア相談や障がいのあるなしで相談先が変わったりします。その時に、全く外に出られないわけでは無いけれど、とか、障害があるわけではないけれど、など、どこに相談したら良いのかわからないという声もあります。そして、若者のひきこもりの場合、保護者の方が何とかしたいという強い気持ちがあり、本人の困りごとが理解されにくい場合や、それぞれに課題が混同されているなど、市として本人への支援のアプローチが非常に難しいという問題点があると思います。そこを丁寧に対応し、保護者と本人への支援を充実させていくにはかなりの人手とシステムが必要だと考えます。本人への支援をおこなうにはアウトリーチの支援が求められると思いますが、無理矢理引っ張り出すなどはかえってこじらせてしますことが多く、そのあたりは市の担当者もかなり慎重に対応されていると聞きました。なかなか解決しにくい問題であり、民間のアウトリーチ支援の団体との連携なども視野に入れて支援を強化させる必要があると考えます。

それらの困りごとを鑑みて、2点質問をいたします。

ア)今の西宮市の相談体制を、広い意味での若者のひきこもり対応の相談窓口を設置し、年齢や条件で振り分けるのでは無く、門戸を開いた切れ目の無い相談窓口をひとつ設置することが必要だと考えますが、市の考えは?

イ)社会に出にくい若者たちへの支援の一つであるアウトリーチ支援を強化し、民間で活動されている団体に委託することで、プロの手を借り、支援を継続できる環境を作ることが必要だと思うが、市の考えは?

市の答弁

ア)若者のひきこもりに関する相談のうち、18歳までの子供の不登校の相談については、こども未来センターが窓口として対応しています。対象となる子供が18歳を超える場合や、必要と判断した場合は、関係機関に繋ぐなどして、適切な支援が継続して受けられるよう連携しているところです。また、保健所や各保健福祉センターでは、対象者の年齢にかかわらず、精神科医師や保健師等による「精神保健福祉相談」、臨床心理士等による「こころのケア相談」など、当事者や家族等からの相談に電話や面接で対応しております。さらに、「ひきこもり青年の家族交流会」を開催し、引きこもる家族への対応に悩む人たちの交流や情報交換の場を提供しています。

今年度、保健所、保健福祉センターとこども未来センターなど、「ひきこもり」対策に関連する部署で情報交換を行い、各課の果たす役割や業務内容、主な対象者などを共有したところです。議員ご提案の若者のひきこもり対応相談窓口につきましては、これまで相談者の所属先や相談者にとって身近な窓口が相談を受け、関係課や関係機関が連携しながら支援を行ってまいりました。今後もそれぞれの相談窓口や関係機関等の特徴を生かした支援や連携により、課題解決に向け、対応してまいります。

イ)ひきこもりに関わるアウトリーチでは、対象者との信頼関係を気付くために、当事者の年齢やひきこもり期間、心身の状態など、慎重に時間をかけて検討する必要があります。現在、保健師等が電話相談や面接相談を行い、訪問について同意が得られている場合に、訪問相談を行っています。また、相談の結果、保健所が継続して関わり続ける場合もありますが、必要に応じて他の関係機関、民間事業者等の情報提供を行っております。ご提案いただきました民間団体への委託につきましては、他市が実施している状況を研究するとともに、引き続き、市関係各課や関係機関等と連携しながら、ひきこもり当事者や家族の抱える悩みや課題の解決に向け、支援してまいります。

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