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2023年10月 管外視察報告

神奈川県立中井やまゆり園

  • 県立中井やまゆり園の当事者目線の支援改革プログラム等について

【概要】

中井やまゆり園は、昭和47年4月「精神薄弱者援護施設」として開設された。当時は150人を定員としたが、平成8年に定員100人に変更。その後、再整備や条例施行規則の改正などを経て140人となる。現在は87名で新規の入所者は受付していない。在園期間は平均19年3ヶ月で、最長は51年5ヶ月。平均年齢は47才で、22才から75才の方がおられる。職員数は正規、非正規合せて192人が従事されている。医療から

津久井やまゆり園の事件をきっかけに、中井やまゆり園における虐待事案が明るみに出た。令和2年に設置された「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」から虐待の指摘があり利用者支援の改善に取り組まれてきた。その後、さらに改革をより一層加速させるために、外部有識者などによる「県立中井やまゆり園当事者目線の支援改革プロジェクトチーム」を設置した。一方で、県は「県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会」を設置し、委員会から県へ虐待通報が行われた。令和5年5月に支援プロジェクトチームが作成した「改革プロジェクト」が公表された。

現在はプログラムに沿って、職員の意識改革をしながら、利用者の暮らしを豊かにすることを考え、対応をすることで利用者の方が変わってきた。そして職員の意識もさらに変化している。全ての人が当事者として同じ方向を見ることが大切なことだと示されている。

今後は、職員の移動のリスクを考え、独立法人としての運営を予定されており、利用者の方との関係性を重視されている。現在の生活は、昼間に活動して夜は休むという昼夜分離の生活の確率を目指されている。

 

【所感】

・津久井やまゆり園の事件がなければ、これまでと変わらない対応で、とにかく刺激を与えないように、部屋に施錠をし、できるだけ関わりを無くした生活になっていたと思う。

・職員の方はこれまでとはまったく違う支援方法になり、かなり戸惑いを隠せない感じがあった。

・広い敷地に沢山の部屋があり、不自由がなさそうに思うが、これまで外の社会との接点が無いままに一生を過ごす方もあったかと思うと無念に思う。

・視察を受け入れ、オープンにして、支援改革を進めて行こうとされている現状がよくわかった。

・大きな施設で生活をする限り、社会との関わりや、地域の方との交流はかなり限られると考える。

 

【提言】

西宮市は、青葉園があり重度の障害がある方でも地域で暮らすというケースが多くある。しかしながら、特に精神障害や発達神経症(発達障害)の方は増えており、特別支援学級や支援学校の児童生徒も増えている。また医療的ケア児も増えていることから、今後、地域で過ごしていく上で必要な支援を増やしていくことは不可欠である。ヘルパー不足などの課題もあるが、大きな施設では無く、やはり地域で一生を暮らしていく選択肢がある社会が大切だと考える。障害を社会モデルとして捉え、合理的配慮や環境整備に注力することが、障がいのある方だけで無く、だれにとっても生活しやすい社会となる。その為には、その合理的配慮や環境整備への取り組みを強化し、企業や事業所、学校やボランティア団体、自治会などへの広報に務めていただきたい。

 

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