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西宮市議会議員 田中あきよ 教育こども常任委員会 提言のご報告②

西宮市議会議員 田中あきよ
施策研究テーマの提言②のご報告です。

 

①コロナウイルス禍の学校教育について

1.学びの継続性(オンライン授業)について

熊本市のオンライン授業について、WEB会議にてお話を聞かせていただいた。オンライン授業に必要なICTの活用を考える前に、学びの方向性をどう考えるのか、「学びとは」というところを軸とし、それを実現するためにICTを活用し、休校になってもオンラインでつながり、学びを止めないという方針があった。その方針は、みんなができることしかやらないのではなく、やれるところからやってみる。スモールステップで少しずつ進めながらその都度問題点を解決していくというものであった。また、不登校の子どもたちがオンライン授業では参加したということである。

さらに日本マイクロソフト(株)とのWEB会議では、Teamsでできることを詳しく教えていただき、使いこなすことで先生の業務短縮や同時協同作業ができるということがわかった。先生の業務改善、情報共有ができ、新たな授業展開が可能になるということであった。子どもたちにとっては、SNS機能などを使いながらコミュニケーションをとったり、受け身の授業ではなく、個の発想力を高める学びに結び付くということであった。
そこで、西宮市でも取り組んでいきたい内容について、以下の提言をする。

〇学級閉鎖や学年閉鎖、また休校になった場合、横並びの取り組みでは無く、各学校ができるところからオンライン授業に向けてスタートし、問題がある場合は優先的に対策を講じる

〇タブレット利用について、フィルター以外に規制をあまり設けずに、できるだけ自由に使える環境で子どもたちが取り組めるようにする

〇不登校や病気で欠席している子どもたちに、オンラインでの授業への参加やコミュニケーションツールとしてタブレットを活用する

〇教師のスキルアップについては、研修以外にも教師間で情報共有できる時間を確保し、また子どもたちから使い方を学べるような柔軟な関係性を構築できように促していく。

 

2.児童生徒のケアについて

冨永良喜教授のお話を聞かせていただき、子どもたちのこころのケアの必要について考えた。新型コロナウィルス感染症は、災害であり、災害時の心のケアが必要であるという冨永先生のご意見は非常に納得のいくものであった。学校教育の中に、ストレスや精神面のしんどさに対する授業が無く、これは特別な時間帯で無く、通常のカリキュラムに組み込むべきとのお話も大切なことだと思った。

そこで、西宮市で取り入れたい内容について、以下の提言をする。

〇心の健康授業についての特別な授業では無く、年間での授業数を確保すること。

〇子どもたちが助けてと言えた時に、大人が受け止められる状態であるように研修を強化する。

〇いじめについて、加害についても詳しく調べて、思い込みの判断とならぬようにする。

〇各学校にカウンセラーが常駐できるように人員配置を進める。

 

3.感染症対策について

2021年5月現在、兵庫県下において3度目の緊急事態宣言が発出され、学教教育においては昨年の一斉休校のような措置はされず、登校しながら感染拡大防止の対策が各学校でなされている。手指の洗浄、マスク着用、消毒作業、給食は全員前を向き、誰とも話をしてはならないなど、徹底して管理がされているが、子どもの育ちへの影響については解明されていない。今後、その状態がどれだけ続くのかわからず、感染拡大防止対策の必要性と子どもたちの育ちへの影響への観点から、2箇所の保育園幼稚園の対策をお聞きししたことを踏まえ学校現場への感染症対策の提言をする。

■甲子園二葉幼稚園 子育てひろば「ふたばっこ」視察より

視察 2021年4月16日(金)午後14時~

子育てひろば「ふたばっこ」には5組ほどの親子さんがあそんでおられた。7ヶ月の赤ちゃんから3歳くらいのお子さんまで、気に入ったおもちゃで遊ぶ中、お母さん同士は情報交換などされながら和気あいあいとした時間が流れていた。自粛で自宅にこもるのは限界があると仰っていた。幼稚園では、縦割り保育を実施されていて3歳から5歳の子どもたちが、大きく開け放たれた部屋で遊んでいた。歩けない子や手を使えない子がいても子ども同士で助け合うことが当たり前の生活であり、縦割り保育であることで学年の中での優劣ができにくく、良い環境にあるとのこと。コンシェルジュの資格を持つ保育士さんが5名おられ、コンシェルジュ同士の横のつながりが安心になると仰っていた。悩みがある保護者には、コンシェルジュ、園長、担当保育士、月1回のカウンセリングの先生など相談体制を整えている。感染症対策にいては以下の通りであった。

〇子育てひろばは、1時間開けた後、1時間かけて消毒をすることを一日3回繰り返している〇空間除菌、湿度を管理している
〇職員室では、子どもたちにとって必要なことをよく話し合った
〇園外に行けず園内で行う行事もあったが、子どもたちは意外と楽しんでいた。
〇職員を7割人員を減らして対応していた。
〇子どもたちのマスク着用に関しては、各家庭で決めてこられたことを園内でも徹底するようにしていた。
〇現場ではできる人ができることをする。意見を出し合う。
・困ったことは、私立幼稚園への情報が少なく、保護者への説明で市からの指導等がなく大変困った。

 

■社会福祉法人 三光事業団理事長・ひかり保育園園長 側垣一也氏のお話より

委員会室にて 2021年4月20日(火)13時30分~

社会福祉法人三光事業団では、ひかり保育園、児童養護施設 三光塾 小松のぞみの家、地域小規模児童養護施設 御殿山ひかりの家、児童家庭支援センター 子そだてサポートひかり、西宮市立鳴尾児童育成センター、母子生活支援施設「ファミリエひかり」、24時間子育て電話相談「ハッピートーク」「ハッピートーク宝塚」など、多岐に渡って、子どもたちの支援事業をされている。その理事長の側垣氏からコロナ禍の感染症対策についてお話を伺った。

昨年3月頃の感染症対策としては、日ごろの保育園内では、子どもの生活をできるだけ変えないことで対応した。検温、消毒、昼食のブッフェスタイルの変更、保護者の送迎の場所の変更などの対応をして、保育者のマスクは透明なものにして顔が見えるようにした。しかし、昨年の9月に職員で話し合いをし、保育中もマスクを着用することに決定。行事については、保護者の要望もあり5歳児はデイキャンプや保育修了式なども実施した。保育所にはPCR検査キットを購入し備えている。マスク着用に関しては、京都大学教育研究科 明和政子教授の「新型コロナウイルス感染症が招いた新たな生活様式と保育実践」のテーマでWEB研修を実施し、保育園での取り組に対する認識の確認をした。

WEB研修から、マスクをした他者との日常経験がもたらすリスクなど、理論的な裏付けをもって保育をしていかなければならないと言うことを感じている。子どもの脳の発達は、8ヶ月、8歳が発達の分かれ道になるとのことから、その時期にマスクで表情が読み取れない他者との交流が、子どもたちに与える影響を考えなければならない。

 

西宮市への提言

  • 子どもたちのマスク着用について、国内外で様々な意見やデータが発表されているが、現在の発表では10歳以下の死亡者はゼロ、子ども同士の感染リスクは低いと言われている中で、どこまで徹底するのか疑問がある。5月5日文科省発表の和田耕治教授(国債医療福祉大学医学部公衆衛生)のインタビューでも、「変異株の子どもへの影響については、15歳未満については感染から守られている。広がりやすいと言うことは無く、普段からの対策を取れば問題が無い」と言われている。マスクに関してはこれまで通り着用と言われているがそのマスク着用には、幼児期においては他者の表情を読み取れない状態が長く続く懸念の方が大きい。海外のデータでも子どもから大人に感染した例は無く、子どものマスクの着用に関係が無いというデータが発表されている。三光塾の側垣氏のご意見にもあるように、子どもの育ちは8歳頃が大きく変化していくと考えると、やはり小学生以下の子どもたちへのマスク着用については強制では無く、選択の自由と差別の無い環境を要望する。
  • 昨年度の学校の感染症対策には、スクールサポーターの方々のご協力が大きく、先生方の負担がかなり軽減されたと聞いている。しかし、今年度は県の予算が付かなかったことから採用を見送られ、学校現場は大変困っていると聞く。その役目をボランティアで補うという学校もあるが、考え方として、感染症対策を安定して持続させたものにしていくには、ボランティアでは無く、有償で採用した立場の人が責任を持って行い、子どもたちの健康を守ることを考えるべきである。早急に補正予算を組み、スクールサポーターの採用を勧めることを要望する。

 

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