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2021年12月議会 一般質問④

行きたいと思える学校について

 

ア.発達障害やHSC(ひといちばい敏感な子)と言われる子どもたちへの対応について

発達障害を厚生労働省のホームページで調べてみると、「自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(学習障害)、チック症、吃音などが含まれる。これらは、生まれつき脳の働き方に違いがあるという点が共通している。同じ障害名でも特性の現れ方が違ったり、いくつかの発達障害を併せ持ったりすることもある。」と書いてあります。障害というよりは、特性だと思うところもありますが、以前よりは発達障害に関しては認識が広がってきたように思います。

そして、HSC(Highly Sensitive child)ひといちばい敏感な子と言われる子どもたちの特性についても、少しずつ知られるようになってきました。

HSP(Highly Sensitive Person)とは、とても敏感な人、繊細で感受性が豊かな人のことで、アメリカの心理学者・エレイン=アーロン博士が名づけた概念です。HSCはその子供版です。日本では精神科医の明橋大二(あけはしだいじ)先生がわかりやすい本も出版され、講演などもされています。

HSCの子どもたちはとても感受性が強いため、例えば教室でほかの子が先生に怒られているのを見るだけで、その怒った声や張り詰めた空気に対して、心が萎縮し、精神的なダメージを受けてしまいます。「なんか嫌やなぁ」と感じるだけで無く、心が傷ついて疲れてしまいます。また大きな音や、気圧の変化といった外部刺激に敏感に反応し、気圧の低い日は頭痛に悩まされることもあります。通常の子どもがアンテナを10本立てているとしたら、HSCの子どもたちは1000本から10000本立てていると言われています。先に述べた発達障害といわれる子どもたちの特徴は、人の心が読みにくいこともあったりしますが、HSCの子どもたちは人の心を読み過ぎてしまうところがあります。HSCやHSPという特徴は、医学的に認められている訳では無く、心理的に認められており、まだまだ理解されてない現状があります。

そういった障害があるといわれる子どもたちや、とても敏感な子どもたちにとって、学校の教室は少なからず、配慮を必要とするところがあります。それが理解されていないと、学校は我慢をするところとなり、他の子たちにはできて自分にはできないことがあると感じたり、自尊心が下がる要因になることもあります。そのことがきっかけで学校に行きづらくなったり、友人や先生との関係が難しくなることがあります。

実は、保護者や家族が理解できずに追い詰めてしまうこともあります。障がいがあっても敏感であっても、社会全体で理解され、環境が整い、その子自身が困っていなければ全く問題ないというところは、それぞれ共通点だと思います。

さて、質問の大項目の「行きたいと思える学校」についてですが、具体的に取り組まれている学校のお話を伺いました。学習障害やHSCといった特性のある子や、不登校の子どもたちの困りごとに焦点を当てるなど、生徒理解を主として学校改革をされている神戸市立長田中学校です。

長田中学校は、不登校の生徒が5年前は15%だったのが、今は10%を切っているそうです。魅力のある学校づくりをするために「教師の高い資質」「わかる授業の実現」「生徒理解の深化」「人間関係づくり」の4つの柱を設けて取組をされました。その中から、実際に特性のある子どもたちの対応として、精神面の寄りそいはもちろんですが、環境的な対応として教室内の掲示物の工夫(黒板の周りに沢山目に入る物があると集中できなかったり、わかりやすい表現にするなど)、カーテンは閉める(日光がまぶしすぎたり、外に意識が行ってしまわないよう)、デジタルタイマーやシングルタスクと言った、わかりやすく提示をすることで混乱しないよう工夫がされました。それらの対応は、支援が必要な子たちのためだけで無く、その特性に気づいていない子どもや、その日の体調によってかなりしんどさが軽減するのでは無いかと考えます。

このような取組は、まずは子どもを理解しようとする姿勢がなければ、いくら取り組んでも良い方向には進みません。そして学校全体で理解を深めることが必要です。もちろん、西宮市でも取り組んでいただいているとは思いますが、学校に行けない子どもたちや、なんとか頑張って登校している子の中には、特性への理解が進み環境が整えば、学校へ行きたいという子どもたちもいると考えられます。西宮市として学校現場に対して、そのような特性のある子たちへの理解と対応をどのように進めておられるのかお示しください。

【市の答弁】

学校に通う児童生徒の中には、様々な障害の状態や特性のある子どもたちがおります。
議員ご指摘のHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)については、近年、新聞記事などにも取り上げられております。各学校では、研修会や校内委員会、支援会議など、様々な機会をとらえ、発達障害やHSCなど、近年取り上げられている様々な障害や特性などに関する基礎的な知識・技能の習得に努め、多様な児童生徒に対応できるよう取組を進めております。

教育委員会としましても、学校園において、ユニバーサルな授業づくりや多様性を尊重した学級づくりなど、すべての教職員が子供の学びの困難さに応じた指導ができるよう、研修会や学校訪問などを通じて指導助言しております。その中でも特に大切にしてほしいこととして、同じ診断名や同じ特性の分類であっても、対応は個々によって異なるということを重視し、入学や進級に際しては、学校と保護者がコミュニケーションをとり、それぞれの子供にあった対応が可能となるよう、丁寧に準備をしておくことが大切であると伝えております。

そのためには、保護者の方々が遠慮なく学校に相談できる雰囲気づくりが必要であり、中学校入学時であれば、小学校の協力も得ながら相談しやすい体制となるよう支援してまいります。このような連携を進めるとともに、学校での授業や特別活動の中で、子供たちの自己肯定感を育む取組を大切に進めてまいります。これからも、学校と保護者とともに、「行きたいと思える学校づくり」に取り組んでまいります。

 

【再質問①】!!

学習障害やHSCといわれる子どもたちに対しての対応について、研修会や学校訪問などを通じて指導助言をされているということで、すでに動いてくださっていることは大変ありがたいと思います。
しかし、研修や学校訪問でどれだけ先生方にご理解いただけるのかという懸念があります。また、一人一人の子どもたちの特性をすべて担任の先生が把握し、指導や支援をするとなるとさらに先生方の負担が増えることも考えられ、この質問を考えながら質問の主旨をお伝えするのが大変難しいと感じていました。一人一人の違いを知っていただきたいのですが、一人一人の支援の大切さと同時に、学校という場所をできる限り障害をなくした環境にすることが大切だということです。

たとえば、HSCの子どもたちが不登校になる2大原因として①が先生の怒鳴り声②が味覚臭覚に敏感だから給食がつらいということでした。給食は、個々の対応となると思いますが、先生の怒鳴り声については、不登校のご相談を受ける際にもよく聞きます。ここで、根性論が出てくると思いますが、怒鳴られて負けん気を出して成長していくことを良しとしている価値観はもはや虐待と同じです。学校に行っている子でも、先生の怒鳴り声が怖くて嫌だという子もいます。怒鳴って良い子と怒鳴ってはいけない子がいるわけでは無く、怒鳴らない教育環境を作っていくことを共通認識として取り組んでいただきたいのです。多様な子どもたちに配慮をするということは、個々の子どもの主体性を察し、尊重することであり、管理的で支配的と子どもたちが感じる場面などは見直しをしていただきたいと思いますが、教育委員会の見解をお聞かせください。

【市の答弁】

いわゆる「HSC」の児童生徒だけでなく、すべての児童生徒に対して、教師の共感力・受容的な指導が求められています。しかしながら、緊急時に子どもの命や安全を守るために強い口調で指導する場面もあります。日ごろからの丁寧な関わりにより、保護者の理解を得ながら、学校生活における約束事やルールなどが理解できるよう、子どもに指導することが大切だと考えており、研修などの機会をとらえ周知してまいります。

【再質問②】

ご答弁の中に「保護者の方が遠慮なく学校に相談できる雰囲気づくりが必要であり、中学入学時であれば、小学校の協力も得ながら相談しやすい体制となるよう支援していきます」と仰ってくださっていますが、発達障害や敏感な子どもたちが中学校に入学する際に、保護者が中学校へ相談に行くと、小学校のような支援はできないと言われたり、不登校の生徒に関しては、別室登校も居場所サポーターも無いと言われることもあります。制服の肌触りがどうしても無理という生徒もいます。学校によって環境が違うので、一概に中学校全体が理解が無いと言うことではありませんが、小学校に比べると中学校の発達障害やHSCの生徒たちへの理解と環境整備は遅れているように感じますが、教育委員会からはどのような取組をされていますでしょうか?

【市の答弁】

小学校から中学校の時期は、成長過程に個人差があり、また思春期などによる心理的な影響が強く表れる時期でもあります。学校によって施設設備に差はありますが、個々の発達段階や特性に応じた適切な指導や支援が必要だと認識しております。

学校現場では、小学校と中学校との差異を埋めるため、積極的な授業交流や出前授業などに取り組んでいます。子どもが安心して学校生活を送るためにも最も大切なことは、子どもに応じた対応であり、それを可能にするために、先ほどの答弁に申し上げたように、小中間の円滑な連携が図られるよう取り組んで参ります。

 

イ.不登校の親支援のための情報共有

これまでの一般質問で、学校に行けない子どもたちへの支援として、保護者への情報提供を要望して参りましたが、今回も同じ内容にはなります。が、再度取り上げる理由は、西宮市内の不登校児童生徒の支援先が増え、一覧表が更新されたおしらせと、このように子どもたちをなんとか救いたいという方が増えてきていることを知っていただきたいところにあります。

西宮市内で学校に行っていない小中学生合わせて800人ほどの子どもたちのうち、あすなろ学級や、民間のフリースクールや居場所と繋がっているご家庭はほんの一握りです。9月の市政ニュースであすなろ学級が取り上げられ、問い合わせが増えたとのことですが、支援先一覧のこのネットワークの方にもご相談や居場所に参加される子どもたちが増えてきております。しかし、せっかく支援先も増えているのに、その情報を広くお知らせするのがまだまだ課題であります。

文部科学省から示されている小学校学習指導要領の不登校児童への配慮について、「不登校児童の保護者に対し、不登校児童への支援をおこなう機関や保護者の会などに関する情報、および指導要録上の出席扱いや通学定期乗車券の取扱等を周知することも重要である」と書かれています。

保護者の会などの情報を周知することが重要であると明示してあります。保護者の会については、西宮市ではすでに横のつながりができており、各団体の活動も明確に把握できる状態であるため、早急に市の方から情報提供をしていただきたい。これまでは、子ども未来センターや各施設に一覧表が配架され、必要な方への情報提供はできているとのことですが、そこまで行かなければ手に入れることができないのは、この情報化社会では通用しないと考えます。まずは市のホームページに提示していただくこと、また各学校での家庭数配布など、すべての保護者に情報提供することが親の安心になり、子どもの安全に繋がると考えます。市の考えはいかがでしょうか。

【市の答弁】

本年度、夏期休業中の市政ニュース8月25日号で教育支援センター「あすなろ学級」を中心とした不登校児童生徒の支援情報を掲載すると共に、市の広報番組「フロムにしのみや」にも9月6日から12日までの間「あすなろ学級」のお活動を紹介する期間を設け、周知に努めました。

「あすなろ学級」では「親の会」を設け、通級する児童生徒の保護者が、子どもたちの様子を知るとともに不登校に対する不安や悩みを共有し、お互いに相談や情報交換ができる場となるよう懇談会を行っています。
また、新たな取り組みとして、来年より不登校の児童生徒や保護者が「あすなろ学級」を身近に感じられるよう、あすなろ学級支援員とオンラインによる相談の取組を始めようと準備を進めているところです。

議員ご提案の支援先一覧表をホームページに掲載することや、家庭数分の配布については現在予定しておりません。あすなろ学級「親の会」から、他の不登校児童生徒の保護者へ市の取組や支援が届いていくよう期待しております。現在あすなろ学級「親の会」は年1回の開催となっておりますが、この取組が不登校親支援の広がりに繋がることを念頭に置きつつ、今後も引き続き不登校児童生徒・保護者それぞれの状況にとって、適切な支援となるよう努めて参ります。

【再質問】

不登校の親支援については、あすなろ学級の親の会を中心として、ネットワークを広げていくイメージかと思います。ぜひスピード感を持ってお願いいたします。また、あすなろ学級の今後の取組として、オンラインでの相談などをスタートされるとのことですが、これはあすなろ学級に通っている子どもや保護者のみの対応となるのでしょうか?

【市の答弁】

不登校児童生徒の支援を目的としておりますので、あすなろ学級への通級有無にかかわらず、すべての児童生徒を対象となるよう準備を進めて参ります。

【意見・要望】

今回取り上げた発達障害やHSCと言う特性以外にも、ある特別な分野に特化して才能があるギフテッドや浮きこぼれと言われる子どもたちもいます。才能を伸ばしきれずに、学校に行けなくなったり、わかっていてもわからないふりをして周りに合せているという子がいます。そういった子たちが学校に生きづらくなり、居場所をなくしてしまうということもあります。

先日Eテレで放送されていたのですが、山形県天童町には、画一的な時間割のある授業ではなく、一人一人が自分のカリキュラムで学ぶことを実践している学校がありました。

先生は指導するのでは無く、自分たちで学びたいことを学び、わからないところは先生が助けるというしくみです。そのまねをしてもらいたいということでは無く、根本的に子どもに合せた学びを子どもたちと考えてもらいたいと思います。

私は、10年以上前から不登校の子どもたちと向き合ってきて、これは自己責任では無くシステムの問題だという思いがあり、活動を続けていますが、そのシステムを換えたいと思うポイントが3つあります。

一つ目は、公教育の通信制です。これは、昨日の福井議員の質問の答弁にもありましたように、授業の配信をした学校もあるとのことで少しづつ進んできたという思いがあります。もちろんオンラインだけでは困りますが、その必要性もあると思っています。

二つ目が、学年制の見直しです。誕生日で分けられた学年で、同じことができないと周りより劣っていると感じてしまう環境は、今の子どもたちにとっては厳しいところがあると感じます。特に低学年では縦割り教育の良さを取り入れられないのかと思います。

三つ目は留年制度と飛び級制度です。個々の成長のスピードが違うことは優劣では無く、個性です。学習障害やギフテッドと呼ばれる子たちは画一的な授業よりも、その子にあった環境で学べることは、最終的に確かな自立に繋がると思います。

夢のような話だと笑われるかもしれませんが、その3つが揃えば、子どももおとなも価値観が変わり、生きやすさに繋がると思います。

とにかく守りたいのは命です。子どもたちの命が消えるようなことの無いよう、早急に学校をどうしていくべきか考えてください。

 

 

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