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2021年12月議会 一般質問②

障害のある方への支援

ア【視覚障害のある方の安全確保のための信号機等】

視覚障害のある方にとって信号がある交差点を渡ることは、「命がけである」と仰っていました。他市の方ですが、体験談をお伺いしたところ、信号が無い交差点で、いつも車の音を聞きながら渡れるか渡れないかの判断をしていたところ、そこに信号が付いたことで、車が来ないと思って渡ったら赤信号だったようで、それを見ていたよそのお子さんに「信号無視をしてる」と言われてしまったと仰ってました。また、別の方からは、「通常信号が故障したらすぐに修理をしないと大変なことになるが、音声の無い信号機は視覚障害者にとってはいつも故障しているのと同じだ」とも仰っていました。それほど、視覚障害のある方にとって、特に一人歩きの方にとっては、信号は大変危険な命がけの場所になっていることがわかります。

音響信号機は、近隣の方への音の問題、信号機は兵庫県警の管轄になることなどから、なかなか実現しない現状があります。そこで信号機について調べたところ、新たに開発された音が出ないデータ受信式の信号機があり、昨年から全国的に設置が進んでいます。その信号機は「高度化PICS」というもので、スマートフォンを持っていればアプリをダウンロードして、信号機に取り付けた発信器からBluetoothで情報を受け取り、どちら方面の信号が青になったという音声や、青信号を延長することができるというものです。この高度化PICSのアプリには「信GO」というネーミングがされており、今年8月の警察庁の発表では、宮城県で100交差点、静岡県で32交差点、福岡県と三重県で各4交差点、千葉県と埼玉県で各1交差点に設置されています。今年度は兵庫県でも神戸市と尼崎市に国費での設置が進められており、20機分の予算が付いているとのことです。その2市への設置理由は、神戸市は国が指定し、尼崎市は視覚障害者の手帳を持っておられる方が多いことと、以前より要望が上がっていたということでした。

そこで、西宮市としても音響信号機の設置が難しいところについては、近隣にも配慮し、障害のある方にも有効な新たな信号機設置に向けた要望を、当事者の方と情報共有しながら兵庫県にあげていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 

市の答弁

市内には、現在、視覚障害者の方の安全対策として、音響信号機が31箇所整備されておりますが、近隣への騒音の問題により、夜間には運用を停止するなど、課題もあるところです。

歩行者用信号機の状態をスマートフォン等からの音声ガイドや振動、画面表示により確認できる歩行者等支援情報通信システム(以下「高度化ピックス」といいます)につきましては、兵庫県警察本部に確認したところ、今年度から神戸市や尼崎市など県内に約20基を導入する予定で、整備後に利用者となる視覚障害者の方のご意見などを検証していくとのことであります。市としましては、高度化ピックスを導入することは、視覚障害者の通行の安全を確保する観点から、メリットは大きいものと考えております。今後、兵庫県での導入後の検証結果や、視覚障害者団体など、関係機関のご意見を確認しながら、整備について、警察へ要望をしていくとともに、引き続き、視覚障害者の通行の安全対策に取組んでまいります。

 

田中あきよの意見・要望

高度化PICSの信号機については、導入することのメリットは大きいとの認識を示していただきありがとうございます。兵庫県警のへ要望を上げていただけるとのことですので、期待をしています。ただ、このシステムは、そもそもスマートフォンを持っていなければならないことや、自分がどの方向を向いているのかわからないという課題もあるとのことですので、先行事例から改善されていくとは思いますが、その辺りも当事者の方と一緒に考え要望に上げていただければと思います。視覚障害のある方に信号機のお話を伺っていると、音響信号機なら音の鳴る方向へ進むことでまっすぐ歩けるが、音が無く横断歩道をまっすぐ歩くのはとても難しいことや、白状とスマートフォンをもちながら歩く不安もあるというご意見もありました。

例えば、今、設置されている音響信号機を、押しボタン式にして必要なときだけ音が鳴るようにすれば、近隣のご迷惑が解消され、夜の間は音が鳴らないという危険な状態も回避できるのでは無いかということも仰っていました。その押しボタンはカタカタと音が鳴り、場所の認識ができるというシステムが海外ではあるとのことです。

また、視覚障害者・高齢者・盲ろう者も含めた全ての人が横断しやすいユニバーサルデザイン信号機としてLED付音響装置(振動タイプ)や、高度化点字ブロックが開発されたりしています。そういった新たな情報も当事者の方と情報交換しながら、安全確保への取組を要望しました。

 

 

イ【市長の動画配信について、聴覚障害者のための手話通訳の必要性】

西宮市では、昨年2020年7月に「西宮市障害を理由とする差別の解消及び誰もが暮らしやすいまちづくりの推進に関する条例」【以下、条例とします】が施行されました。その条例には「手話言語条例」が包括されています。また、基本理念には、「手話が独自の言語体系と歴史的背景を有する文化的所産であることを理解し、尊重します。」と書いてあります。そのことから、西宮市では手話が一つの言語であると認識していることがはっきりしておりますし、この条例が施行された時には、法令施行について石井市長自ら手話で動画配信をされています。

しかしながら、昨年から今年にかけて、新型コロナウィルス感染症対策について、10回、石井市長からメッセージが動画配信されましたが、残念ながら手話での配信はありませんでした。

新型コロナウィルス感染症で、市の動向が注目されている中での発信であり、全市民に向けたメッセージであったと思いますが、手話を言語とされている方にとっては伝え切れていないということになります。

行政から動画配信されるときは、字幕スーパーに加えて手話通訳が必要だと考えますが、実際に通訳をお願いするに当たっては、様々に課題があると認識しております。その上で、せめて市長からメッセージを配信されるときは、手話通訳が必要だと考えますが市の考えはいかがでしょうか。

動画には字幕が付いており、聴覚障害のある方にはご理解いただけるとの考えかと思いますが、条例にもありますように、手話は一つの言語として成り立っており、手話での意思疎通を主として生活をされている方にとっては、書いてある文章よりも、手話の方が理解が深まる方がおられます。そこも考慮していただき今後のご対応をお聞かせください。

 

市の答弁

現在、本市では様々な情報を動画で配信しておりますが、そのうち市長自らが説明やメッ
セージを発信している動画といたしましては、「定例記者会見」や「コロナウイルス感染症
に関する市民へのメッセージ」などがございます。
先程、議員が述べられた通り「障害を理由とする差別の解消及び誰もが暮らしやすいまちづくりの推進に関する条例(以下、「条例」と言います)」が施行された際は、市長自らが手話を使って市民へ周知を行い、現在もその動画を配信しております。
また、市長動画の中でも特に「コロナウイルス感染症に関する市民へのメッセージ」につきましては、字幕スーパーの挿入やメッセージ全文を動画とともに掲載することにより、聴覚障害のある方に合理的配慮をしながら提供してきましたが、これまで手話通訳については導入しておりませんでした。
不特定多数の方が一定期間閲覧可能である動画に手話通訳を導入する際には、手話通訳者に対しプライバシーへの配慮を行う必要があるなど、様々な課題がありますが、出来る限り条例の基本理念に沿うためにも、対応をすることが手話通訳を導入することが望ましいと考えております。
今後は、市長が自ら説明等を行う動画のうち、まずは緊急性・即時性が高い「災害対応」や今回の「コロナウイルス感染症対応」に係る動画への手話通訳導入に向け、関係部局・関係機関と協議を行ってまいります。

 

田中あきよの意見・要望

コロナウィルス感染症に係る動画だけで無く、災害対応には特に手話通訳をお願いいたします。聴覚障害のある方の災害時の問題は、とにかく情報が入りにくいところです。まずは市長の動画には手話通訳をつけていただき、通訳者の方への配慮など課題解決がすすみましたら、さらに手話通訳をつける対象広げていただくよう要望しました。

 

 

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