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2023年6月議会 一般質問③トイレの表示について

③LGBTQの当事者が安心して利用できるトイレを考える

 

質問の項目にLGBTQの当事者と書いていますが、トイレについてのこの質問に関してはLGBTQの全ての方ということではありません。トランスジェンダーの方など困っている方がおられるという観点で質問いたします。

先日6月16日に、いわゆるLGBT理解増進法が成立しました。賛否両論ある法律となり、修正案で追加された第12条には「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。」という内容には多くの反対意見があります。だれのための法律なのかということを、今一度考えていただきたい文言です。

理解促進の法律であるにもかかわらず、もし、理解が進まずに誤解され、当事者以外の方から不安だという声が上がった場合、どんなことになるのか、当事者の方の絶望の声が聞こえてきます。この法律が本当に理解促進になり得るのか、私達は心して「だれもが取り残されない社会」を実現すべく取り組まねばなりません。

この法律が成立したこのタイミングで、この質問をすることになりましたが、実は以前からトランスジェンダーの当事者の方からトイレのご相談をいただき、当局にも問い合わせをし、他市の状況も調べていたところでした。

ご相談いただいた方のお話をご紹介します。

【生まれ持った性と自認している性がちがうトランスジェンダーの自分が利用できるトイレは、みんなのトイレや多目的トイレになります。使えるところがあるのはとてもうれしいことですが、たとえば障がいのある方やベビーカーの方が外で待たれていたりしたときに「なぜ、この人は男女別のトイレを使わないのだろう」と思われていないかと不安になるのです。もしも、みんなのトイレにトランスジェンダーの当事者も利用することがあると表示されて、みんなが共有できていて理解されていれば、自分は社会に受け入れられているのだと感じることができます。表示があってもカミングアウトしていない人は利用しないかもしれない。それでも社会に受け入れられているという気持ちになるのは同じだと思います。選択肢があるんだという安心に繋がります】

と、仰っていました。
そこで近隣市を調べたところ、資料③にありますように、明石駅にある「あかし案内所」のみんなのトイレには「ALL GENDERS」と書かれた表示がありました。ピクトグラムでは無く、ローマ字で書いてあります。公共の場でこのような表示があることは、当事者の安心だけで無く、市民への理解促進に繋がり、      市としての姿勢を示すことにも繋がるのでは無いでしょうか。

性的少数の方々の理解促進の観点から、西宮市の公共の場にあるみんなのトイレや多目的トイレに、LGBTQの方も利用されることがわかる表示が必要であるという意見をどう考えますか?また、トイレの表示について考える場合に、LGBTQの当事者の方々に、ご意見やご提案をいただける場が必要だと考えますがいかがでしょうか?

 

【男女共同参画推進課の答弁】

社会的に多様な性への認識が広まってきたことに伴い、トイレについても男女の区分だけではトランスジェンダー等の当事者の方々が気兼ねなく利用することができない点に対して、対策を求める声があることは認識しております。

本市では令和3年3月に、「西宮市性の多様性に関する取組の方針」を策定し、性的マイノリティの方々の、困難や生きづらさを解消するための支援や、性の多様性に関する教育・啓発事業に取り組んでおり、支援事業として、当事者への配慮を含む環境整備の検討・実施を進めることとしております。

ご質問の、性的マイノリティの方々の理解促進の観点から、公共の場にある多目的トイレ等に、LGBTQの方も利用されることがわかる表記をすることは、こうした環境整備につながるものと考えておりますが、トランスジェンダー等当事者から、知られたくない個人情報の開示(アウティング)に繋がる可能性を指摘する意見もあることから、文言やデザインなど表記の方法については、慎重に検討する必要があると考えています。

市としましては、性別や性のあり方を問わず、誰もが利用できるトイレであることを表示することによって、トランスジェンダー等当事者だけでなく、介助者と被介助者の性別が異なる場合や、低年齢の子どもと保護者の性別が異なる場合など、性別の違い等を意識せず利用できるようになれば、誰もが使用しやすいトイレになると考えます。

また、LGBTQの当事者の方々にご意見やご提案をいただく場が必要ではないか、というご質問については、これまでも様々な機会を通じてトランスジェンダー等当事者へのヒアリングを行ってまいりましたが、今後もご意見やご提案をお聞きしそのご意見を踏まえつつ、先行自治体の事例等も参考にしながら、関連部署とも連携して、多目的トイレの表示等の環境整備について検討してまいります。

こうしたこととは別に、昨今男女共用となるトイレについては、悪用や誤用などのリスクが懸念されるという声がございますが、このような声によって当事者の方々が生きづらさを感じることがあってはならないと考えております。今後も、一人ひとりの人権が尊重され、多様な生き方や価値観を認め合うことのできる社会を目指して、性の多様性に関する理解増進に努めてまいります。

 

 

◆意見

ご答弁をお聞きし、西宮市としては当事者の方のご意見を第一に考えていると言うことはわかりました。お一人お一人の人権を大切に考えるからこそ、理解を進める方法を模索しているところもあるのかなと思うところです。トイレの問題一つとっても、当事者の方の中で意見が分かれることがあります。アウティングしていない方にとっては、その表示がアウティングになってしまうのでは無いかという危機感があるということも認識しています。だからこそ、性的少数者の方々のことをもっと積極的に理解を進めていかねばならないと強く思っています。

ご答弁にもありましたように「西宮市性の多様性に関する取り組みの方針」の中には、具体的な取組として、 支援事業の③に、当事者への配慮を含む環境整備の検討・実施 があります。

当事者のとても繊細な課題に触れることになると、どうしても動きづらくなることは理解しますが、環境整備の検討、実施を西宮市としては積極的に進めていただきたいと考えます。

また、ご答弁の最後に、昨今、男女共用となるトイレの悪用や、間違った使い方の誤用などのリスクについて懸念されるという声があり、そのことによって当事者の方が生きづらさを感じることがあってはならないというお答えでした。このようなトイレを悪用する人はLGBTQの当事者の方々のトイレ利用の件とは何ら関係の無いことです。どんなトイレであってもそこで罪を犯す人は取り締まりをし、そのような悪用はさせないという取り組みが必要であると言うことです。全くもって別の話でありますので、市として、そこは十分に理解された上で、あえて昨今の現状から当事者の方の人権を守る観点から言及されたと認識しております。

先日、お隣の尼崎市で男性同士のご結婚式が執り行われました。沢山の神社に断られたそうですが、地元の神社が引き受けてくださり厳かに挙式をされました。私は以前から知り合いであり、元々結婚式の司会の仕事をしていたこともあって、ご結婚披露パーティのご相談をいただきまして進行内容と司会をお任せいただき、手作りのパーティが開催されました。そこで感じたことは、以前私が何百件と入らせていただいたご結婚披露パーティと何ら変わらないと言うことです。一つだけ気をつけたのは新郎がお二人なので、新郎新婦という言葉を使わないことだけでした。社会ではゲイのお二人が結婚式を挙げたということでマスコミも注目したわけですが、繋がっている人からすると、友人が好きなパートナーと出会い、一生共に生きていくというおめでたいことなのです。私はこの経験させていただいて、やはり人はつながりあうこと、相手を知ることが深い理解に繋がり、強いてはすべての人の生きやすさに繋がると感じました。性的少数派であるということで、生きていけなくなるほどつらくなる社会は終わらせなくてはなりません。

LGBT理解増進法についても、今後、当事者の方の意見が取り入れられるような法改正がなされることを望みましてこの件は以上とします。

 

 

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